2022.11.10
【徹底解説】耐震基準適合証明書は3種類、使用目的は4種類??
目次
本記事は、ご相談者の方からよく聞かれる「耐震基準適合証明書の種類」に関して解説します。耐震基準適合証明書により受けられる住宅購入時の減税は、以下の4つとなります。
① 不動産取得税
② 登録免許税軽減
③ 住宅ローン減税
④ 住宅取得等資金にかかる贈与税非課税
耐震基準適合証明書の「書式の種類」は3種類。「減税の目的」は4種類あります。耐震基準適合証明書の基本情報は、以下の表を参考にしてください。
制度 | 根拠法令 | 提出先 | 提出時期 |
不動産取得税減税 | 地方税法施行令第37条の18第2項 | 都道府県税
事務所 |
不動産取得税申告時 |
登録免許税減税 | 租税特別措置法施行令第42条第1項
租税特別措置法施行令第41 |
市区町村役場 | 家屋証明書取得時 |
住宅ローン控除
(所得税・住民税減税) |
租税特別措置法施行令第23条第5号
第24条の2第3項第1号 第26条第2項 第40条の4の2第3項 第40条の5第2項 |
税務署 | 確定申告時 |
住宅取得等資金にかかる
贈与税の(一部)非課税 |
租税特別措置法施行令第40条の4の2第3項 | 税務署 | 贈与税申告時 |
それでは、次に各制度の詳細について解説していきます。
不動産取得税減税とは
「不動産取得税」とは、土地や建物の購入、建物の建築、不動産を贈与で取得したときに1度だけ課税される地方税です。
課税対象者は不動産を取得、建築(新築・増改築)した個人・法人です。
不動産が有償か無償かは問いません。
この不動産取得税の減税をするために必要となるのが耐震基準適合証明書です。
耐震基準適合証明書を取得する必要があるのは、昭和56年12月31日以前に建築された住宅です。
令和4年の税制改正により、昭和57年1月1日以後に建築された住宅の場合は、証明書の取得は不要となりました。
【減税計算】
・住宅用土地の税額(固定資産税評価額×3%)-減額額
・減額額は次の高い方の額
・45,000円
・土地の1㎡当たりの価格×住宅の床面積の2倍×住宅の取得持分×3%
・中古住宅の税額 (固定資産税評価額-築年次に応じて定められた控除額)×3%
・新築住宅の税額 (固定資産税評価額-1200万円)×3%
【必要書類】
・不動産取得税申告書
・売買契約書
・土地建物の登記簿謄本
・住民票
・耐震基準適合証明書※昭和56年12月31日以前に建築された住宅の場合
・印鑑
【提出時期】
不動産取得税申告時
【提出先】
都道府県税事務所
※不動産取得税の軽減にかかる控除額などについては、各都道府県によって若干の相違があります。
不動産取得税減税の適用条件
中古住宅を取得した際の不動産取得税を減税するための要件は次の3つです。
① 買主の居住用、またはセカンドハウス用としての取得
② 50㎡以上 240㎡以下(課税床面積)
③ 次のいずれかに該当するものである事
・昭和57年1月1日以後に新築されたもの
・昭和56年12月31日以前に建築された住宅は耐震基準適合証明書が取得できること
・昭和56年12月31日以前に建築された住宅は既存住宅売買瑕疵保険に加入し、保険付保証明書が取得できること
新築住宅を取得した際の不動産取得税を軽減するためには、延べ床面積のみが要件になります。
一戸建て住宅 | 一戸建て以外の住宅 | |
貸家 | 50㎡以上240㎡以下 | 40㎡以上240㎡以下 |
貸家以外 | 50㎡以上240㎡以下 | 50㎡以上240㎡以下 |
参考URL:東京主税局
登録免許税軽減とは
不動産を『購入』『新築』したり、『贈与』を受けたりしたときには、自分の名義に変更するために不動産登記の申請をします。この時に支払うのが「登録免許税」です。
登録免許税は国税ですので、法務局で納付します。
登録免許税の軽減は、マイホームに関する以下の登記をするときに受けられます。
・所有権移転登記:土地、中古の建物の購入時、名義を売主から買主に変更する
・所有権保存登記:新築建物を自分の名義にする
・抵当権設定登記:住宅ローンの融資をした銀行等が不動産を担保にとる登記
万が一住宅ローンの返済が滞った場合、不動産を強制的に売却(競売)するために抵当権設定の登記をし、売却代金で住宅ローンを回収する。
登記の種類 | 税額 | 本則の税率 | 軽減後の税率 |
所有権移転(建物) | 固定資産税評価額 | 2% | 0.3%
|
所有権保存(新築建物) | 法務局が定めた価格 | 0.4% | 0.15% |
抵当権設定(住宅ローン) | ローン借入額 | 0.4% | 0.1% |
登録免許税の軽減を受けるためには、2ステップが必要です。
・不動産が存在する市区町村役場で「住宅用家屋証明書」を取得する
・法務局に住宅用家屋証明書を提出する(登記申請時)
【家屋証明書取得時の必要書類】
・住宅用家屋証明申請書及び証明書
・売買契約書又は売渡証書
・新築した場合は建物請負契約書
・登記簿謄本
・住民票※新住所のもの
・耐震基準適合証明書または既存住宅売買瑕疵保険の保険付保証明書※昭和56年12月31日以前に建築された住宅の場合
【提出時期】
住宅家屋証明書取得時(不動産の引渡し前)
【提出先】
管轄の市区町村
登録免許税軽減適用の要件
1 本人が建築主の場合は、建築後1年以内の住宅である事
2 登記名義人が自己の住宅として使用する事
3 事務所や店舗、倉庫などとの併用住宅の場合には、延床面積90%以上が居宅部分である事
4 建売住宅、中古住宅の場合は取得後1年以内に登記する事
5 家屋の床面積(登記面積)が50㎡以上である事(マンションの場合は共用部分の床面積を含まず、専有部分の登記床面積で判断します)
6 昭和57年1月1日以後に建築された住宅
7 昭和56年12月31日以前に建築された住宅は、耐震基準適合証明書又は既存住宅売買瑕疵保険が取得されている事
10 所有権移転登記の場合には、売買または競売により取得したものである事(贈与や相続などによる所有権移転登記には適用されない)
11 建物の所有権登記名義人の国籍は問わない
12 建物の所有権登記名義人の単独所有であるか共有であるかは問わない(共有の場合には、その家屋に居住する者の持分についてのみ軽減される)
13 抵当権設定登記の場合、建物の所有権登記名義人と債務者が異なる場合には適用されない(建物の所有権登記名義人が連帯債務者の一人である場合には適用される)
14登記簿上「居宅」と登記されている事。「共同住宅」は適用無し
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除は、『住宅ローンを組みマイホームを新築・購入した人が所得税の還付を受けられる制度』です。
令和4年度の税制改正により、住宅ローン控除の制度は大きく変わりました。1番影響が大きい変更点は「控除額1%から0.7%」への変更です。
令和4年度の税制改正により建物築年数の適用要件が大幅に緩和され、昭和57年1月1日以後に建築された建物は耐震基準適合証明書の提出が不要となりました。
表にまとめると以下のとおりです。
【中古住宅の借入限度額】
2022~2025年入居 | 控除期間 | 控除額 | |
長期優良住宅・低炭素住宅 | 3000万円 |
10年 |
年末借入残高×0.7% |
ZEH水準省エネ住宅 | 3000万円 | ||
省エネ基準適合住宅 | 3000万円 | ||
上記以外の中古住宅 | 2000万円 |
新築住宅・買取再販住宅の借入限度額
2022~2023年入居 | 控除期間 | 2024~2025年入居 | 控除期間 | |
長期優良住宅
低炭素住宅 |
5,000万円 | 13年 | 4,500万円 | 13年 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 13年 | 3,500万円 | 13年 |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 13年 | 3,000万円 | 13年 |
上記以外の新築住宅 | 3,000万円 | 13年 | 2,000万円
※要件あり |
10年 |
・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度との併用が可能
・所得税より還付しきれなかった場合、翌年の住民税より97,500円を上限に控除を受ける事が可能
【必要書類】
・確定申告書
・源泉徴収票
・金融機関等からの借入金残高証明書
・土地建物の登記簿謄本
・売買契約書または建築請負契約書
・住民票
・住宅用家屋証明書
・耐震基準適合証明書又は既存住宅売買瑕疵保険の保険付保証明書、建築住宅性能評価書の写し※昭和56年12月31日以前に建築された住宅の場合
【提出時期】
確定申告時
【提出先】
管轄の税務署
住宅ローン控除適用の要件
・自ら居住すること
・登記事項証明書の床面積が50㎡以上であること
・新築住宅かつ住宅ローン控除を受けようとするものの年間所得金額が1,000万円以下である場合、登記事項証明書上の床面積40㎡以上であること
・昭和57年1月1日以後に建築され新耐震基準適合住宅である事
・・耐震基準適合証明書又は既存住宅売買瑕疵保険の保険付保証明書、建築住宅性能評価書の写し※昭和56年12月31日以前に建築された住宅の場合
・合計所得金額が2,000万円以下である事
・住宅ローン借入期間が10年以上である事
住宅取得等資金の贈与の非課税特例とは
本来は、マイホームを新築・取得・増改築するための資金援助を、父母や祖父母など直系の尊属から受けた場合、援助を受けた資金(金銭)に対し贈与税がかかります。
住宅取得等資金の贈与の非課税特例とは、この贈与税を一定の要件を満たす場合に非課税にする制度です。
【非課税限度額】
省エネ等住宅:1,000万円までが非課税
省エネ等住宅以外:500万円までが非課税
【必要書類】
- 非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税申告書
- 戸籍謄本など受贈者の年齢や贈与者との関係を明らかにする書類
- 源泉徴収票などの受贈者の適用年の合計所得金額を確認できる書類
- 土地・家屋の登記事項証明書
- 新築の場合は請負契約書の写し、売買による取得の場合は売買契約書の写しなど
- 省エネ等住宅の場合は建築住宅性能評価書の写しなど
- 既存(中古)住宅で昭和56年12月31日以前に建築された住宅の場合は耐震基準適合証明書など
- 増改築の場合は、増改築等工事証明書
【提出時期】
贈与税申告時(確定申告時)
【提出先】
管轄の税務署
【適用の要件】
受贈者要件
- 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること(配偶者の父母・祖父母は非該当)
- 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること
- 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること(住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)
- 平成21年分から令和3年分までに住宅取得等資金の非課税の特例を受けていないこと
- 特別の関係がある人(配偶者や親族等)から取得したものではないこと
- 贈与を受けた翌年の3月15日までに住宅取得等資金の全額を使い家屋の新築等をすること
- 贈与を受けた時に日本国内に住所があること
- 贈与を受けた翌年3月15日までにその家屋に住むこと、又は翌年3月15日以後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること
家屋の要件
- 登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下でその家屋の床面積の2分の1以上の部分が受贈者の住居となるもの
- 取得した住宅が次のいずれかに該当すること
- 建築後使用されたことのない住宅用家屋
- 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、昭和57年1月1日以後に建築されたもの
- 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、耐震基準適合証明書等により
地震に対する安全性の基準に適合することを証明されたもの
4. 昭和56年12月31日以前に建築され使用されたことのある家屋で耐震基準適合証明書が取得できない住居については、しかるべき時期までに耐震改修が行われ耐震基準に適合することになったことが証明証にて証明されたもの
3.増改築後の床面積(マンションの場合は専有部部の床面積)が40㎡以上240㎡以下で床面積の2分の1以上の部分が受贈者の住居となるもの
4. 増改築等の工事が一定の工事に該当することについて「確認済証の写し」や「検査 済証の写し」または「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたもの
5.増改築の工事に要した費用が100万円以上であること
6.増改築の工事に要した費用の2分の1以上が、自己の居住用とされる部分の工事に要したものであること
まとめ
耐震基準適合証明書は3種類あり、主に4種類の住宅減税の減税優遇を受けるために必要な証明書です。
令和4年度の税制改正により、減税優遇を受けるための中古住宅の築年数要件が緩和されました。「昭和56年12月31日以前に建築された住宅か」が耐震基準適合証明書が必要になるか否かのポイントです。
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