2022.10.9
フラット35に必要な適合証明書と耐震基準適合証明書の違いに簡単に解説
住宅減税です。
住宅検討の際、住宅ローンを利用する方は変動金利・短期固定金利・長期固定金利を選択する事となります。
借入先については、都市銀行や地方銀行の銀行系、信用金庫系・ネット銀行系など購入検討者のニーズに合わせて選定されることとなりますが、政府系のフラット35という融資方法がございます。
フラット35の大きな特徴は、借入期間全期間の金利が固定となり、家賃と同じように毎月返済に変動がなく、生活をする上で家計の管理がしやすいことが利点と言えます。
今回は、よくある質問の一つとして、
【フラット適合証明書】と【耐震基準適合証明書】の違いについてご説明いたします。
フラット適合証明書と耐震基準適合証明書は、異なる書類です。
フラット適合証明書と耐震基準適合証明書は名称が似ているため、同じような認識をもられる方も多くいらっしゃいますが、実際には全く異なる書類です。では、具体的にどのような違いがあるのか説明していきます。
フラット適合証明書は、フラット35を利用する場合に金融機関に提出する書類です。
フラット35の融資を利用される場合、融資担当の代理店より住宅ローンの事前審査の承認を受けてから、住宅ローンの本申込審査へ進むと同時にフラット適合員の資格を有する建築士(適合証明技術者)や指定検査機関の技術者に建物現地に出向き建物外観と室内状況を診断調査をし、フラットの規定に適合している事の確認をし、【住宅適合証明書】の発行をもってフラット融資の実行が可能となります。
つまり、フラット適合証明書がなければフラット35の融資を利用することもできない事となり、とても大切な証明書と言えます。フラット適合証明書の調査・証明書発行までに費用については概ね10万円前後となります。
フラット35は新築住宅と中古住宅いずれにも利用できますが、中古住宅の場合は一戸建ておよびマンションについては条件を満たさなければいけません。
【フラット35を中古住宅で利用するための条件】
一戸建て住宅等(※1) | マンション(※2) | |
接道 | 原則として一般の道に2m以上接すること | |
住宅の規模(※3) | 70㎡以上(共同建ての住宅は30㎡以上 | 30㎡以上(※4) |
住宅の規格 | 原則として2以上の居住室(家具等で仕切れる場合でも可)ならびに炊事室、便所及び浴室の設置 | |
併用住宅の床面積 | 併用住宅の住宅部分の床面積は全体の2分の1以上 | |
戸建型式等 | 木造の住宅(※5)は一戸建てまたは連続建てに限る | |
住宅の構造 | 耐火構造、準耐火構造(※6)または耐久性基準(※7)に適合 | |
住宅の耐震性 | 建築確認日が昭和56年6月1日以後(※8)であること
(建築確認日が昭和56年5月31日以前の場合(※9)は、耐震評価基準などに適合) |
|
劣化状況 | 土台、床組等に腐朽や蟻害がないこと等 | 外壁、柱等に鉄筋の露出がないこと等 |
建築基準(管理規約) | ― | 管理規約が定められていること |
建築基準(長期修繕計画) | ― | 計画期間20年以上 |
- ※1. 一戸建て住宅等には、連続建て住宅、重ね建て住宅及び地上2階以下の共同建ての住宅を含みます。
- ※2. マンションとは、地上3階以上の共同建ての住宅をいいます。
- ※3. 住宅の規模とは、住宅部分の床面積をいい、車庫やバルコニー等は含みません。
- ※4. 共同建ての住宅の場合は、建物の登記事項証明書により確認。
- ※5. 木造の住宅とは、耐火構造の住宅及び準耐火構造(※6)の住宅以外の住宅をいいます。
- ※6. 準耐火構造には、省令準耐火構造を含みます。
- ※7. 耐久性基準とは、基礎の高さ、床下換気孔等に関する基準です。
- ※8. 建築確認日が確認できない場合は、新築年月日(表示登記における新築時期)が昭和58年4月1日以後とします。
- ※9. 建築確認日が確認できない場合は、新築年月日(表示登記における新築時期)が昭和58年3月31日以前とします。
住宅金融支援機構ホームページより抜粋
フラット35を中古住宅で利用する場合は、上記の条件を満たす必要があります。上記の条件を満たしたことを証明する書類が【フラット適合証明書】となります。
フラット35を利用するためには、事前に現地の物件調査を行います。
2022年10月より、フラットの融資条件に大幅なルール変更が生じました。フラット適合証明書の発行にあたり、金利優遇が受けられる【フラットS】と【維持保全型】などの条件を満たすことで金利引き下げがポイント制となりました。
フラットSについては、①全室開口部をペアガラス若しくは二重サッシを使用、②断熱等性能等級2と同等以上の断熱構造を有する、③高齢者配慮対策等級2以上を有する、いずれか3点のうち一つを満たすことで【フラットS】を満たします。
維持保全型については、既存住宅状況報告書(インスペクションの実施)により、現地建物の劣化および調査不能の記載がないことで【維持保全型】の金利引き下げを満たすことができます。建物インスペクション(建物現況調査)といいます。
金利引き下げについては1ポイントで【借入当初5年間の金利がマイナス0.25%】の適用となります。
フラット35の現地調査時に物件調査を行った結果、建物に不具合や欠陥が見つかった場合、中古物件の購入費用とは別にフラットに適合させるための是正工事が発生することになります。
この点も踏まえて今後のフラット35の融資については、フラット適合証明書の現地調査に合わせてインスペクションの調査をセットで行なう事が購入者目線での中長期的なリスク回避にも繋がっていくと言えます。
耐震基準適合証明書は、どういった書類なのでしょうか
耐震基準適合証明書は、建築基準で定められた耐震基準を満たしていることを証明するための書類です。
こちらの証明書は2022年4月1日より【築年数緩和】という法改正により、昭和56年12月31日以前の新築年月日の中古住宅を購入する際に耐震基準適合証明書を発行があれば、4つの住宅購入に係る減税(住宅ローン減税・登録免許税・不動産取得税・贈与の特例)の適用が可能となります。
つまり建物構造としては、昭和57年1月1日以降は【新耐震基準】、昭和56年12月31日以前は【旧耐震基準】という形に変更となったため、耐震基準適合証明書は旧耐震基準の建物を購入する際に発行が必要となったと考えればシンプルです。
耐震基準適合証明書は、建築士事務所の建築士によって発行が可能となります。各建築士により証明書発行の基準も異なる事があるため、証明書発行の相談については、経験豊富な事務所への依頼がポイントとなります。
住宅減税では、様々な建物の相談を専門的に受付けていますので、お気軽にご相談ください。
耐震基準適合証明書は、住宅の売主、買主のどちらからでも発行の依頼が可能となります。
証明書発行のタイミングは、所有権移転まで、つまり代金決済までに証明書の発行が必要となりますので、お気を付けください。
耐震基準適合証明書の減税メリットとしては以下の通りとなります。
- 住宅ローン控除を適用
- 登録免許税を減税
- 不動産取得税を減税
- 贈与の特例
耐震基準証明書は発行を依頼してから発行されるまで約2週間を要します。証明書の発行費用については、調査費用を含めて10万円前後となります。
また、耐震基準適合証明書については、前述したように旧耐震基準の建物について発行する事となりますが、こちらは先に示したように【建築基準で定められた耐震基準を満たしていることを証明するための書類】となります。
つまり実務としては、耐震診断をした結果、新耐震基準に満たしていない可能性が高くなり、購入する建物を耐震補強(耐震改修)する事が必要となり、耐震補強完了後に専門の建築士が現況調査の上、耐震基準適合証明書の発行に至る事となります。
この点も住宅減税では【耐震診断→耐震補強工事→耐震基準適合証明書の発行】までの一貫して提案する事が可能となります。※対象については、木造家屋のみに限ります
耐震補強工事を実施済の建物に関しては、【不動産購入時の減税メリット】に併せて【建物購入後の耐震性】を同時に得ることができます。
あなたが大切な人のために購入された住宅から、新たな生活とかけがえの無い命を守る安心感を得るためのサポートを住宅減税は担っていきたいと考えています。