2022.11.15
耐震基準適合証明書又は住宅性能評価書の写しなどが無くて住宅ローンが受けられないというご相談について
住宅購入の際に多くの人が適用できるか知りたい住宅ローン控除。控除額が大きく節税効果の高い制度ですが、実は令和4年の税制改正で内容が変わったことをご存知でしょうか?
控除額や控除期間、適用条件も変わりましたので、適用を受けたい方にとっては知っておくべき変更内容が数多くあります。
しかし、住宅ローン減税は制度内容が複雑です。
「住宅ローン控除はどうすれば適用できるの?」
「適用を受けるために必要な書類は?」
「リフォームでも住宅ローン控除って受けられる?」
こうした疑問をお持ちの方も多いかと思います。
そこで今回は、令和4年の税制改正で変わった住宅ローン控除の内容と、控除を受ける時に必要な書類や、書類がない場合の対処法もご紹介します。また、リフォームで住宅ローン控除を受けるための方法も解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除は、住宅取得の際に組む住宅ローンの金利負担を軽減できる制度で、正式名称は「住宅借入金等特別控除」と言います。条件を満たせば、下記の控除期間の間、「年末のローンの残高」か「住宅の取得対価」のどちらか少ない方の金額から0.7%の控除を受けることができます。
当該制度は住宅購入の際に多くの方が利用を検討する制度ですが、2022年の税制改正に伴い、制度内容が一部改正されたので注意が必要です。変更点は下記のような事項です。
- 適用期限 → 4年間延長
改正前:令和3年(2021年)12月31日まで
改正後:令和7年(2025年)12月31日まで
- 控除額 → 0.7%に減少
改正前:控除率1%
改正後:控除率0.7% (2022年以降に適用の場合)
- 控除期間 → 原則13年間に変更
改正前:控除期間10年間(特例措置適用では13年)
改正後:新築住宅・買取再販は13年間、 中古住宅や増改築は10年間(2022年以降に適用の場合)
その他にも、適用対象者の所得要件の引き下げ、環境性能の高い住宅に対する借入限度額の上乗せ措置などが施行されました。
なお、控除の対象となるには一定の条件を満たさなければいけません。 住宅の床面積や所得に関する要件のほか、返済期間が10年以上、自己の居住用であるといった要件も必要です。多くの規定がありますので、住宅ローン控除の適用を検討する場合には確認しましょう。
住宅ローン控除を受けるために必要な書類
住宅ローン控除を受けるためには、入居の翌年に確定申告を行います。申告の方法は、税務署や国税庁ホームページから入手できる確定申告書で行うほか、「e-tax」 と呼ばれるオンラインでの確定申告の方法もあります。
住宅ローンを受ける際には、この確定申告書とともに下記のような書類を提出しましょう。
- 住宅借入金等特別控除額の計算証明書
- 源泉徴収票
- 登記事項証明書
- 不動産売買契約書または工事請負契約書
また、中古物件の購入やリフォームで住宅ローン控除を受ける場合には、以下の書類が必要となる場合もあります。
- 耐震基準適合証明書
- 住宅性能評価書
- 増改築等工事証明書(リフォームで適用を受ける場合には必須)
上記書類については、契約した不動産会社や建築事務所などに連絡しないともらえないため注意しましょう。
ちなみに、令和4年の税制改正で、住宅ローン控除が適用できる中古住宅の築年数要件も変わりました。これまでは耐火住宅で25年以内、非耐火住宅で20年以内という要件がありましたが、「昭和57年以後に建築された住宅」であれば適用対象となりました。
したがって、昭和57年1月以降に建築された建物であれば、耐震基準適合証明書は不要です。逆に耐震基準適合証明書の発行が必要なのは、昭和56年12月以前に建築された「旧耐震基準」の建物に限られるということです。
なお、新耐震基準の建物は、昭和56年6月の建築基準法の耐震基準改正から建築され始めました。そのため、昭和56年頃に建築された建物には、旧耐震基準の建物と新耐震基準の建物が混在しているのです。昭和56年を境に耐震基準適合証明書の発行を必要としているのはこのためです。
耐震基準適合証明書や住宅性能評価書がない場合
仮に上記2つの書類がない場合には、書類を発行してもらいましょう。耐震基準適合証明書は建築士、検査機関、住宅性能評価機関などに依頼し、耐震診断に適合することで発行されます。発行までの期間は申請から1か月以上、取得には費用10万円~15万円ほどの費用が掛かります。
なお、発行のためには以下のような書類が必要です。
- 耐震基準適合証明申請書 仮申請書
- 物件状況等報告書
- 間取り図
- 台帳記載事項証明書もしくは検査済証の写し
- 検査登記事項証明書の写し、もしくは建物登記事項証明書の写し
一方、住宅性能評価書は国土交通省の登録を受けた第三者機関が発行を行います。取得に掛かる費用や発行までに掛かる期間は、受ける評価項目などによって変わってきます。
ちなみに、住宅性能評価書には「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」の2種類があります。設計住宅性能評価書は、施主が希望する性能に沿って設計されているかを評価した書類です。そして建設住宅性能評価書は、設計図通りに施行されているかを検査し発行される書類となります。基本的には両方とも取得する必要がありますので、覚えておきましょう。
耐震基準適合証明書と住宅性能評価書は、どちらも書類の取得に時間と費用が発生します。確定申告の前から必要な手続きや時間は把握し、しっかりと準備しておきましょう。
リフォーム時にも増改築等工事証明書があれば適用可能!
住宅ローン減税は新築や住宅購入時のみの適用ではありません。実はリフォームの場合でも、一定条件を満たして増改築等工事証明書の取得があれば、住宅ローン減税のメリットを受けられます。発行に関しては、こちらも建築士や検査機関、住宅性能評価機関などに行ってもらいましょう。
適用を受ける条件は、不動産売買での住宅ローン減税の要件に加え、自己所有であり所有者自身の住居の増改築等であることです。そしてさらに、下記のような要件のいずれかに該当していれば適用対象となります。
- 増改築や建築基準法規定の大規模修繕・大規模な模様替え工事
- 住居の居室やキッチン、トイレ、浴室等の床または壁の全てについて行う修繕や模様替え工事
- 工事費用が100万円超であり、その50%以上が所有者居住の住宅部分に使われている
- 10年以上のローン期間であること
- 一定のバリアフリー工事や省エネ改修工事であること など
また、発行をする際には主に以下の書類が必要となります。業者によっては追加で必要な書類が出るケースもありますので、事前に確認しておきましょう。
- 工事請負契約書等
- 工事費用の内訳明細
- 登記事項証明書等
- 工事前、工事後の間取り図面写真
- 住民票の写し
まとめ
住宅ローン控除を受けるためには、源泉徴収票や残高証明書だけでなく、住宅の性能を示す耐震基準適合証明書や住宅性能評価書などが必要になるケースもあります。そのため、本記事を参考にして耐震基準適合証明書や住宅性能評価書を効率良く取得できるよう、万全な準備をしましょう。
また、中古住宅の場合には、事前に住宅ローン減税が適用できるか不動産会社に確認しておく必要もあります。引き渡しの後には対応してもらえないケースもあるためです。確定申告は期間が定められていますので、事前に必要な書類を揃えてスムーズに住宅ローン控除を受けられるようにしましょう。