2022.10.15
増改築工事証明書とは?適用される5つの減税措置を徹底解説
目次
みなさん、「増改築工事証明書」という書類をご存じですか?
リフォーム業務に精通している方でないかぎり、おそらく聞いたこともない書類だと思います。
実はこの「増改築工事証明書」を取得することにより、色々な減税措置が適用される場合があります。
今回は、そんな「増改築工事証明書」の詳細と発行により得られる減税メリットについて説明させていただきます。
増改築工事証明書とは?
増改築工事証明書とは、建築確認申請の必要がない小規模な増築や改築など(いわゆるリフォーム)を行った際に、その工事の内容を証明するために発行される書類です。
一定の要件を満たすリフォームを行った場合に税制の優遇措置が適用されるため、その要件に適合するかを判断するために使用されます。
増改築工事証明書の発行者は下記のとおりです。
①建築士事務所登録をしている建築士
②指定確認検査機関
③登録住宅性能評価機関
④住宅瑕疵担保責任保険法人
増改築工事証明書発行の方法
上記の発行者に対し、下記書類を添えて依頼することにより増改築工事証明書が発行されます。
①建物の登記事項証明書(登記簿謄本)
②リフォーム工事の請負契約書
③リフォーム前後の建物図面及び写真
④リフォーム工事費用内訳明細書及び領収書
⑤補助金交付額決定通知書(補助金を受ける場合)
⑥住民票の写し
発行費用は、数万円程度の費用がかかる事務所が一般的です。
詳細については、依頼する事務所へ事前確認しましょう。
増改築工事証明書発行により適用される減税措置
ここからは、増改築工事証明書発行により適用される可能性がある減税措置について紹介していきます。
減税措置① 所得税・住民税の住宅ローン控除
ローンを利用してリフォームを実施した場合、住宅ローン減税が適用される場合があります。
リフォームによる住宅ローン減税の借入限度額は2,000万円、控除率は年末時点の借入残高の0.70%、控除期間は10年間とされており、最大で140万円(2,000万円×0.70%×10年間)の税控除を受けることが可能です。
リフォームによる住宅ローン減税を適用するためには、以下の要件を満たす必要があります。
【工事要件】
・大規模の修繕又は模様替えの工事(増築、改築、建築基準法に規定による)
・マンションなど区分所有部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事
・家屋の居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関、廊下のいずれかの床、または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
・一定の耐震改修工事
・一定のバリアフリー改修工事
・一定の省エネ改修工事
・リフォーム費用から補助金を差し引いた金額が100万円超
・居住部分のリフォーム費用が工事全体の1/2以上(併用住宅の場合)
【利用要件】
・引渡し又は工事完了から6か月以内に居住
・リフォーム工事後の床面積が50m2以上
・住宅ローンの返済期間が10年以上
・その年の合計所得金額が2,000万円以下
また、住宅ローン減税を適用するためには確定申告が必要です。
2022年中に実施したリフォーム工事の申告時期は2023年2月からになりますので、対象の方は忘れずに申告するようにしましょう。
減税措置② バリアフリーリフォーム・省エネリフォームの投資型減税
リフォームにローンを利用せず、自己資金でリフォームを行った場合も減税措置が適用される場合があります。
適用される場合は、リフォームを実施した年の所得税から工事費用に控除率を掛けた金額を控除することが可能です。
ただし、工事費用は実際の支払額ではなく、国土交通省が定める標準工事費用をもとに計算されるという点に注意しておきましょう。
工事種類別の限度額などは下記の表のとおりですが、詳細については「令和4年度税制改正の大綱」をご確認ください。
対象工事 | 限度額 | 控除率 |
バリアフリー改修工事 | 200万円 | 10% |
省エネ改修工事 | 250万円
(350万円) |
10% |
三世代同居改修工事 | 250万円 | 10% |
耐震改修工事 又は
省エネ改修工事と併せて行う耐久性向上改修工事 |
250万円
(350万円) |
10% |
耐震改修工事 及び
省エネ改修工事と併せて行う耐久性向上改修工事 |
500万円
(600万円) |
10% |
※限度額のかっこ内は太陽光発電装置を併せて設置する場合の限度額
減税措置③ 耐震改修工事の投資型減税
耐震リフォームを自己資金で行った場合も、バリアフリーリフォーム等と同じように減税措置が適用される場合があります。
耐震リフォームの場合の限度額は250万円、控除率は10%です。
バリアフリーリフォーム等の場合と同様に、工事費用は標準工事費用をもとに計算されることになるので注意しておきましょう。
減税措置④ 耐震工事の固定資産税減額
昭和57年1月1日以前に建築された住宅を現行の耐震基準に適合させるためのリフォームを実施した場合、翌年度分の固定資産税が1/2に減額されます。
この制度を適用するためには、下記の要件を全て満たすことが必要です。
①耐震リフォーム工事費が税込50万円を超えること
②昭和57年1月1日以前から所在する家屋であること
③床面積の1/2以上が居住用であること(併用住宅の場合)
④現行の耐震基準に適合する耐震リフォーム工事を行っていること
⑤令和6年3月31日までに工事を完了すること
上記要件を満たす場合は、工事完了から3か月以内に下記書類を市区町村窓口に提出することにより固定資産税が減額されます。
①固定資産税減額申告書
②工事請負契約書の写し
③増改築等工事証明書または住宅耐震改修証明書
申請方法の詳細については、建物所在地の市区町村窓口にお問い合わせください。
減税措置⑤ 住宅取得資金の贈与税
父母や祖父母からリフォーム資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たすと贈与税が非課税となります。
限度額は省エネ等住宅の場合は1,000万円、その他の住宅は500万円です。
適用要件の概要は下記のとおりですが、詳細は国税庁ウェブサイトをご確認ください。
【受贈者要件】
①父母や祖父母からの贈与であること
②受贈者が18歳以上であること
③贈与を受けた年の所得が2,000万円以下であること
④平成21年から令和3年の間に住宅取得資金の非課税を適用していないこと
⑤親族などとの請負契約により行ったリフォームでないこと
⑥贈与を受けた年の翌年3月15日までに工事を完了すること
【工事要件】
①床面積が40㎡以上240㎡以下で、1/2以上が居住の用に供されていること
②増改築工事証明書等により、一定の工事に該当することが証明されていること
③リフォーム費用が100万円以上であること
増改築工事証明書とは?適用される5つの減税措置を徹底解説(まとめ)
いかがでしたでしょうか?
今回説明させていただいたように、増改築工事証明書を発行することにより様々な減税措置を受けることができる可能性があります。
リフォームを行った際は、それらの減税措置も考慮して増改築工事証明書の発行を検討するようにしましょう。